代表理事
園部まり子・長岡徹

顧問
西間三馨先生
(国立病院機構福岡病院名誉院長)

活動報告

母の会で開催した講演会や学会での報告、記事などをご紹介します。

■移動距離は700キロ超え、10日の岩手県内は雪模様となり運転は緊張の連続

山田町健康福祉課で「スキンケア」動画を見ながら取り組みを説明

山田町健康福祉課で「スキンケア」動画を見ながら取り組みを説明

「母の会」は2月9日(木)、10日(金)の両日、岩手県沿岸の自治体などを訪問し、東日本大震災の発災以来続けている協力について要望をうかがいながら意見を交換しました。「母の会」スタッフは前日の8日(水)、三重県四日市市での研修会に出席した後、その日のうちに東海道新幹線・東北新幹線を乗り継いで岩手県盛岡市に到着。翌9日早朝からレンタカーを利用して宮古市、山田町、大槌町の教育委員会、保健センター、保育担当と、発災以来連携している宮古市の川原田小児科・アレルギー科、県立山田病院、大槌学園を訪問しました。この後、会合に出席するため仙台市へ。10日は北上する形で陸前高田市、大船渡市、釜石市の保健センター、教育委員会などを訪問し、2日間の走行距離が700キロを超える移動となりました。特に10日の岩手県内は雪模様となり、普段は運転しない雪道では大変に緊張しました。

■「母の会」からの提案、新たな取り組み「スキンケア講座」に高い関心

陸前高田市ではともに研修会に取り組んだスタッフと再会した

陸前高田市ではともに研修会に取り組んだスタッフと再会した

行く先々でこれまで連携して専門職向けの研修会などを行ってきた方々と再会、山田町、陸前高田市、釜石市などでは研修会や講演会を開催した後の変化の様子をうかがうことができました。「母の会」からは新たな取り組みとして、乳児期の湿疹をなくす「スキンケア」と必要な保湿剤や軟膏の塗布を適切に行うことでアトピー性皮膚炎の発症を30%~50%減らせる(国立成育医療研究センター生体防御系内科部アレルギー科医長、大矢幸弘先生らが報告)という最新の医学知見を踏まえた取り組みを「スキンケア講座」として保健センター等で実施することで被災地域での子育てを後押ししたいという考えを説明し、訪問先の自治体などから高い関心が示されました。また教育委員会などからは具体的な研修会実施の相談も寄せられました。

■他の地域に先駆けて「アレルギー疾患対策基本法」に沿った取り組みに

高さ10メートルの堤防の建設が進んでいた(山田町で)

高さ10メートルの堤防の建設が進んでいた(山田町で)

アレルギー疾患対策基本法に基づく取り組みの「基本的な指針」(案)には、「アレルギー疾患を有する者の生活の質の維持向上のための施策に関する事項」として「国は、学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドライン、学校給食における食物アレルギー対応指針等を周知し実践を促すとともに、学校の教職員等に対するアレルギー疾患の正しい知識の習得や実践的な研修の機会の確保等について、教育委員会等に対し必要に応じて適切な助言及び指導を行う」「児童福祉施設や放課後児童クラブにおいても、職員等に対して、保育所におけるアレルギー対応ガイドライン等既存のガイドラインを周知するとともに、職員等に対するアレルギー疾患の正しい知識の習得や実践的な研修の機会の確保等についても地方公共団体と協力して取り組む」とされています。「母の会」が協力することで、他の地域に先駆けて東日本大震災の被災地域でそうした取り組みが効果的に実施できるよう、協力を続けていきたいと思います。

■昨年9月の台風10号に伴う豪雨被害のつめ跡も生々しく

昨年の台風10号に伴う豪雨で橋が流された宮古市の刈屋川

昨年の台風10号に伴う豪雨で橋が流された宮古市の刈屋川

久しぶりに岩手県沿岸を回り多くの地域で復興が進んでいることを実感しました。沿岸に以前は壊れたままだった堤防が各地で再建され、復興住宅もあちこちで建設されていました。かさ上げされた地域には、ようやく住宅も再建され始めていました。震災以来不通になっているJR山田線の宮古・釜石間(55.4キロ)も第三セクター「三陸鉄道」への運営移管が決まり復旧工事が行われていました。一方、昨年9月の台風10号に伴う豪雨被害はそのつめ跡を生々しく残していました。宮古市教育委員会の前を流れる刈屋川では、流された橋がそのまま放置されていました。間もなく東日本大震災の発災から6年、「母の会」はこれからも地域の皆さんに必要とされる協力を続けていきたいと思います。 (園部まり子)