代表理事
園部まり子・長岡徹

顧問
西間三馨先生
(国立病院機構福岡病院名誉院長)

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アレルギーの適切な治療を学べる講演会などの情報を紹介し患者さんのQOL向上に努めています。

■「医師法違反とはならない」(平成25年11月27日、厚生労働省医事課長ことは明白

教育委員会や学校などで教職員に向けた研修を行うと、今でも参加した先生方から「教職員が『エピペン®』を打っても問題はないのか?」という質問が出されることがあります。『エピペン®』は注射なので、それを打つことは医療行為であり、医師でもない教職員が打っても法的な問題は生じないのかという疑問です。

各地で行われている教職員の研修会(写真は平成28年8月、宮城県石巻市)

各地で行われている教職員の研修会(写真は平成28年8月、宮城県石巻市)

平成20年に文部科学省が監修して作られた「学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドライン」に「医師法違反にならないと考えられます」と記述されていることも、不安の一因になっているようです。
この点について、今では「ガイドライン」に即して教職員が『エピペン®』を打つことは医師法に違反しないことが明確になっています。平成25年11月13日に文部科学省の学校健康教育課長が医師法を所管する厚生労働省医事課長に行った照会に対する同年11月27日付の回答で「貴見のとおり」、つまり「文部科学省監修の『学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドライン』(平成20年3月31日)において示している内容に即して教職員が注射を行うものであれば、医師法違反とはならない」(照会文)ことが明確になりました。その内容は文部科学省のホームページに公表されていますが、見つけにくいこともあり教職員の目に触れていないのかもしれません。

■必要と判断された時には教職員が速やかに『エピペン®』投与を

文部科学省の「学校給食における食物アレルギーに関する調査研究協力者会議最終報告」(平成26年3月)によると、平成20~25年の時点で、教職員が『エピペン®』を打った事例は106件あり、少しずつ取り組みが進んでいることが分かりました。ただ一方、同じ報告で保護者が駆け付けて打ったと考えられる事例も114件報告されており、教職員が『エピペン®』をためらっている様子もうかがわれました。この報告を受けて文科省が厚労省に照会し医師法に違反しないことが改めて明確にされました。必要と判断された時には教職員が速やかに『エピペン®』を打つことが期待されており、文部科学省は『エピペン®』使用の状況を引き続きフォローしていく責任があると思います。
(長岡徹)

文部科学省の照会及び厚労省医事課長の回答はこちら