代表理事
園部まり子・長岡徹

顧問
西間三馨先生
(国立病院機構福岡病院名誉院長)

活動報告

母の会で開催した講演会や学会での報告、記事などをご紹介します。

<5>岩手県で「理解を広げる」連携がスタート

川原田先生のご尽力や大船渡市学校保健会からの要請を受け、岩手県での連携が動き出しました。12月2日には東京都立小児総合医療センターの赤澤晃医長、古川真弓医師が宮古市を訪問、現地の小児科医との意見交換が行われました。宮古医療圏は医師不足といわれる岩手県の中でも、人口比で最も医師が少ない地域。多忙にもかかわらず、意見交換には、宮古医療圏のほぼ全ての小児科医(県立宮古病院の勤務医2人、開業の小児科医3人)が集い、アレルギー医療をめぐり活発な意見交換が行われました。

12月2日 宮古市の小児科医の意見交換(市民総合体育館)

12月2日 宮古市の小児科医の意見交換(市民総合体育館)

 
■2月3日、宮古市でアレルギー研修会を開催

この意見交換を受けて連携が進展、宮古市では2月3日(金)に、再び都立小児総合医療センターアレルギー科の赤澤晃医長、同病院のアレルギー・エデュケーター

2月3日 宮古市 アレルギー疾患研修会(市民総合体育館)

2月3日 宮古市 アレルギー疾患研修会(市民総合体育館)

である益子育代看護師が出向いた「アレルギー疾患研修会」が開催されました。当日は「30人集まれば大成功」という予想を大きく上回り、宮古市や隣接する岩泉町、山田町からも、被災した方たちや子どもたちと向き合っている保育士32人、保健師12人、医師4人、看護師3人、養護教諭2人ら71人が集い、席や資料が足りなくなる盛況な研修会となりました。参加者からは、「ステロイド軟膏は正しく使うことで効果があることが分かった」(保育士)、「正しい理解を職員全員で共有することが大事と改めて感じた」(保健師)など、重ねての開催を望む声が多く寄せられました。

   

■大船渡市では給食従事員、養護教諭の研修

岩手県大船渡市からも研修実施の要請が相次ぎました。1月6日(金)には、国立病院機構相模原病院臨床研究センターの管理栄養士、林典子さんを講師に迎えた大船渡市学校保健会の「給食従事員研修会」が開催され、学校給食に携わる栄養士10人、調理員31人、養護教諭4人など46人が参加しました。ここでも参加者からは「アレルギーの子の保護者や、学校関係者(特に校長など管理職)、行政の人にも聞いてほしかった」(栄養士)、自分の知識が誤っていることに気付いた。アレルギー食を提供する時、細心の注意を払わなければいけないことを改めて感じた」(調理員)などの声が寄せられました。

1月6日 大船渡地区合同庁舎(給食従事員研修)

1月6日 大船渡地区合同庁舎(給食従事員研修)

また大船渡市では2月3日(金)、「養護教諭研修会」が、講師に都立小児総合医療センターアレルギー科の赤澤晃医長、益子育代さん(小児アレルギー・エデュケーター)を迎えて開催され、市内の小中学校22校から19人の養護教諭が参加。参加者からは「学校でも『エピペン』(食物アレルギーの重篤な症状に備えた自己注射)の対応ができると知ってから、研修を受けたいと思っていた。分かりやすくて、とても良かった」(養護教諭)などの声が寄せられました。
  
<6>宮城県でも「理解を広げる」連携が動き出す

宮城県でも仙台市を中心に連携が動き出しました。仙台市保育課と連携し、2月28日(火)には、講師に国立病院機構相模原病院小児科の今井孝成医長、長谷川実穂さん(同病院臨床研究センター管理栄養士)を迎え、震災のために中止された「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン」に基づく取り組みを進める研修会を

2月28日 仙台市医師会館(保育士の研修)

2月28日 仙台市医師会館(保育士の研修)

開催、仙台市、塩釜市、女川町などから171人が参加し熱心に行われました。ここでも「アレルギー食対応について具体的な話を聞くことで、これからの仕事に自信が持てた」などの声が寄せられました。また同日夜には、医師向けの「食物アレルギー・アドレナリン自己注射対応研修会」を、「アレルギー疾患災害対策研究会」として同会場で開催、38人が参加されました。

 

 

3月までの活動を支えていただいていた日本財団、大和証券福祉財団、中央共同募金会、マクドナルド財団に深謝いたします。

 

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