2012年4月6日
東日本大震災の被災地での活動(その3)
<5>岩手県で「理解を広げる」連携がスタート
川原田先生のご尽力や大船渡市学校保健会からの要請を受け、岩手県での連携が動き出しました。12月2日には東京都立小児総合医療センターの赤澤晃医長、古川真弓医師が宮古市を訪問、現地の小児科医との意見交換が行われました。宮古医療圏は医師不足といわれる岩手県の中でも、人口比で最も医師が少ない地域。多忙にもかかわらず、意見交換には、宮古医療圏のほぼ全ての小児科医(県立宮古病院の勤務医2人、開業の小児科医3人)が集い、アレルギー医療をめぐり活発な意見交換が行われました。
■2月3日、宮古市でアレルギー研修会を開催
この意見交換を受けて連携が進展、宮古市では2月3日(金)に、再び都立小児総合医療センターアレルギー科の赤澤晃医長、同病院のアレルギー・エデュケーター
である益子育代看護師が出向いた「アレルギー疾患研修会」が開催されました。当日は「30人集まれば大成功」という予想を大きく上回り、宮古市や隣接する岩泉町、山田町からも、被災した方たちや子どもたちと向き合っている保育士32人、保健師12人、医師4人、看護師3人、養護教諭2人ら71人が集い、席や資料が足りなくなる盛況な研修会となりました。参加者からは、「ステロイド軟膏は正しく使うことで効果があることが分かった」(保育士)、「正しい理解を職員全員で共有することが大事と改めて感じた」(保健師)など、重ねての開催を望む声が多く寄せられました。
■大船渡市では給食従事員、養護教諭の研修
岩手県大船渡市からも研修実施の要請が相次ぎました。1月6日(金)には、国立病院機構相模原病院臨床研究センターの管理栄養士、林典子さんを講師に迎えた大船渡市学校保健会の「給食従事員研修会」が開催され、学校給食に携わる栄養士10人、調理員31人、養護教諭4人など46人が参加しました。ここでも参加者からは「アレルギーの子の保護者や、学校関係者(特に校長など管理職)、行政の人にも聞いてほしかった」(栄養士)、自分の知識が誤っていることに気付いた。アレルギー食を提供する時、細心の注意を払わなければいけないことを改めて感じた」(調理員)などの声が寄せられました。
また大船渡市では2月3日(金)、「養護教諭研修会」が、講師に都立小児総合医療センターアレルギー科の赤澤晃医長、益子育代さん(小児アレルギー・エデュケーター)を迎えて開催され、市内の小中学校22校から19人の養護教諭が参加。参加者からは「学校でも『エピペン』(食物アレルギーの重篤な症状に備えた自己注射)の対応ができると知ってから、研修を受けたいと思っていた。分かりやすくて、とても良かった」(養護教諭)などの声が寄せられました。
<6>宮城県でも「理解を広げる」連携が動き出す
宮城県でも仙台市を中心に連携が動き出しました。仙台市保育課と連携し、2月28日(火)には、講師に国立病院機構相模原病院小児科の今井孝成医長、長谷川実穂さん(同病院臨床研究センター管理栄養士)を迎え、震災のために中止された「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン」に基づく取り組みを進める研修会を
開催、仙台市、塩釜市、女川町などから171人が参加し熱心に行われました。ここでも「アレルギー食対応について具体的な話を聞くことで、これからの仕事に自信が持てた」などの声が寄せられました。また同日夜には、医師向けの「食物アレルギー・アドレナリン自己注射対応研修会」を、「アレルギー疾患災害対策研究会」として同会場で開催、38人が参加されました。
※3月までの活動を支えていただいていた日本財団、大和証券福祉財団、中央共同募金会、マクドナルド財団に深謝いたします。