2012年12月3日
アレルギーの専門医制度で発言しました(秋季学術大会)
日本アレルギー学会の第62回秋季学術大会が11月29日(木)から12月1日(土)までの3日間、大阪国際会議場で開催されました。「母の会」は、研究が中心の学術大会には参加しないことが多いのですが、今回は、最終日に行われた専門医制度をめぐる討論会に患者の側から意見を述べるために招かれて出席、発表させていただきました。
■専門医制度の見直しへ向けた検討が続く
多くのアレルギーの患者にとって専門医は「命綱」ともいえる大事な先生方です。その専門医をめぐって今、アレルギー学会がアレルギー専門医を、また小児科学会が小児科専門医をなど、個別の学会が専門医を育てて認定する仕組みから、第三者機関が育成のプログラムを定めて認定する仕組みに改める議論が進められています。背景には、それぞれの学会が認定する専門医が必要な力を備えているのかなどの課題が指摘されています。
今回の討論会は、これからのアレルギー専門医のあるべき姿について、先生方や患者の代表、報道関係者などがそれぞれ意見を述べて討論を行いました。患者の代表では、「母の会」の園部と、アレルギー友の会の丸山さんが、マスコミ代表では、以前「母の会」の講演会にも来ていただいたことがある読売新聞編集局医療情報部の野村記者が招かれました。
■「どこに行けば良くなるのか」が分かる制度に
「母の会」の園部からは、アレルギー学会が進める「総合アレルギー専門医」の考え方について、喘息やアトピー性皮膚炎、食物アレルギー、鼻炎、結膜炎、ラテックスアレルギーなど幅広い疾患を一人の専門医で対応することが可能なのか。幅広い疾患を診療できる半面、より高い専門性が求められる重篤な患者が、どこに行けばよいのか分からなくなる可能性があるのではないかなどの意見を述べさせていただきました。
その上で、一定の幅広い診療能力の上に、それぞれの専門医が得意な分野を明示でき、患者にもそれが分かる制度にしていただきたいこと、なるべく早く専門医だけがアレルギー科を標榜できるようにすること、専門医資格を更新する時には実際に行っている「医療の質」を評価すべきであること、専門医の養成プログラム作りには患者も加わることで、より良い内容になるのではなどと提案させていただきました。
■先生方の力が正しく評価されることが信頼に
「母の会」の提案の多くが日本の現状では大変に難しい課題であることは承知していました。それでも、診療がきちんと評価されることが、真剣に取り組んでくださっている先生方の熱意にこたえることになるのではないか、患者にとっても「どこに行ったら良くなるのか」が分かることで救われ、先生方への信頼につながるという視点で、あえて述べさせていただきました。患者の率直な声を聞いていただける機会をいただけたことに感謝したいと思います。