2017年5月17日
岩手県大船渡市、陸前高田市、宮城県気仙沼市、石巻市などを訪問しました
■東日本大震災から6年、90回の研修会を実施し5,586人の専門職などが参加
5月15日(月)~17日(水)にかけて、「母の会」は岩手県山田町、大槌町、釜石市、大船渡市、陸前高田市、宮城県気仙沼市、南三陸町、女川町、石巻市、東松島市を訪問し、これまで連携してきた保健師や栄養士さんを中心に、新たな視点で行う取り組みの案内や意見交換を行いました。
「母の会」は東日本大震災の発災以降、アレルギー患者を支えるために現地の保健師、栄養士、教職員など専門職が参加する研修の機会を提供するなどの協力を続け、平成28年度の1年間に23回の研修会などを実施し1,724人が参加されました。これにより発災から6年間で90回の研修会を実施し5,586人の医師、看護師、保健師、栄養士、教職員、患者・保護者などが参加されています。
■「親子のためのスキンケア講座」を案内、高い関心が示される
「母の会」は今年度、(独)福祉医療機構の助成を受けて「親子のためのスキンケア講座」を、東北を含む各地で行うことにしています。乳児期の湿疹をなくす「スキンケア」を適切に行うことでアトピー性皮膚炎の発症リスクが30%以上低下する(国立成育医療研究センターアレルギー科医長、大矢幸弘先生らが成育出生コホート研究のランダム化比較試験で示す)とする研究成果を、専門医やアレルギーエデュケーターなどの協力を得て実際に保健センターなどで取り組み、健診を担当する保健師や栄養士などに習熟していただくことで、子どもの健やかな成長を後押ししたいと考えています。
今回訪問した保健センターの保健師さんらは日頃から湿疹で困っている乳幼児に出会っていることから「母の会」の提案に高い関心を示され、多くの自治体で「スキンケア講座」の具体化を検討していただくことになりました。また今年3月21日、アレルギー疾患対策基本法に基づき厚生労働大臣が告示した「アレルギー疾患対策の推進に関する基本的な指針」に、健診などの母子保健事業の機会を捉えて適切な保健指導や受診勧奨を行うことなどが盛り込まれたことも、自治体の保健センターと協力して行う取り組みの背景になりました。「母の会」の試みはささやかですが、「指針」に示された施策に具体的に取り組み、その結果をまとめたいと考えています。
■急ピッチで進む復興、かさ上げした新中心市街地に商店街、駅建設も
3日間、岩手、宮城両県の沿岸を訪問して、今回も急ピッチで進む復興の様子を見ることができました。被災して運休が続くJR山田線の宮古・釜石間(55.4キロ)が第三セクターの三陸鉄道に移管しての再開に向けた整備が進み、山田町では駅舎の建設工事が進められていました。また各地で土地のかさ上げ工事が進み、「キャッセン大船渡」(大船渡市)、「アバッセタカタ」(陸前高田市)、新「さんさん商店街」(南三陸町)といった商店街も出来上がっていました。こうした施設を核に新しい町づくりが進むことを期待したいと思います。
(園部まり子)