代表理事
園部まり子・長岡徹

顧問
西間三馨先生
(国立病院機構福岡病院名誉院長)

講演会 • 学会発表報告

講演会•学芸発表報告の説明

講演会を開催いたしました。
「正しく知ろう! 子どものアトピー、食物アレルギー」

日 時:平成22年9月12日(日)13:00~16:30
会 場:はまぎんホール ヴィアマーレ(横浜市西区みなとみらい)

<講演会次第>
開会挨拶:「母の会」代表/園部 まり子

講 演1:正しく知ろう子どものアトピー性皮膚炎
東京都立小児総合医療センターアレルギー科医長/赤澤晃先生

講 演2:正しく知ろう子どもの食物アレルギー
(独)国立病院機構相模原病院小児科/今井孝成先生

講 演3:食物アレルギーの栄養と調理の工夫
(独)国立病院機構相模原病院臨床研究センター/長谷川実穂先生

--休憩・エピペン実習--

シンポジウム 学校・園・家庭のアレルギー児のサポート充実に向けて
・座 長:(独)国立病院機構福岡病院名誉院長/西間三馨先生
・シンポジスト:赤澤晃先生/今井孝成先生/長谷川実穂先生/園部まり子

■後 援:文部科学省、厚生労働省、(社)日本アレルギー学会、日本小児アレルギー学会、(財)日本アレルギー協会、神奈川県医師会、横浜市医師会、神奈川県、神奈川県教育委員会、横浜市教育委員会、神奈川新聞社

■協賛・寄付:グラクソ・スミスクライン株式会社、サノフィ・アベンティス株式会社、ファイザー株式会社、杏林製薬株式会社(順不同)

■協 力:アストラゼネカ株式会社、鳥居薬品株式会社、マイラン製薬株式会社、ファディア株式会社、(独)環境再生保全機構、(財)日本学校保健会、(財)日本予防医学協会、相模原病院アレルギーの会、朝日出版社(順不同)

■助 成:神奈川県社会福祉協議会

<講演会参加者>
291人(他にボランティア役員30人)
参加地域:茨城県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、長野県、愛知県、大阪府、兵庫県

<講演会の概要>
  

活発に行われたシンポジウム

活発に行われたシンポジウム

講演会の前半では、赤澤晃先生、今井孝成先生、長谷川実穂先生が講演を行な いました。赤澤晃先生はアトピー性皮膚炎では治療の混乱が見られるもの の、 丁寧なスキンケア、 適切な軟膏療法、原因・悪化因子探しと対策の「治療の三 本柱」を適切に行うことで症状なく暮らせるようになることを、イラストをふん だんに使ったスライド でわかりやすく解説していただきました。

今井孝成先生は、食物アレルギーについて不適切な医師の指導で不必要な食物除 去を行った結果、重い成長障害に陥った例を紹介しながら、 「回転食」や「食 物抗原強弱表」に基づく食事など根拠がなく不適切な指導がもたらす弊害を指摘 し、適切な診断に基づく最小限の除去が食物アレルギーの対応 の 基本であるこ とを話していただきました。また近年、食物アレルギーの治療として注目されて いる「経口減感作」療法の、相模原病院における取り組みの現状、 今後の見通 し についても説明していただきました。

長谷川実穂先生は、相模原病院臨床研究センターの研究栄養士として日々、食物 アレルギーの患者・家族の相談を受けている中から浮かぶ課題を解きほ ぐして 解決策を説明され、身近に手にいれることができる食材を使った除去食・代替食 づくりを紹介していただきました。また、休憩時間には、アドレ ナリン自己注 射薬の説明、実物を使った研修を行なっていただきました。

座長の西間三馨先生

座長の西間三馨先生

西間三馨先生を座長に行われた講演会後半のシンポジウムでは、あらかじめ参加 者から寄せられた質問に答えいただき、「学校 のアレルギー疾患に対する取り 組みガイドライン」(監修:文部科学省、発行:日本学校保健会)の活用の現状 や今後の課題などについても、実際に学校の対応 に 困っている保護者らからの 問題提起をもとに、シンポジストの皆様に活発な論議を交わしていただきました。

会場ロビーでは、(独)環境再生保全機構や、「母の会」と連携のある患者支援 グルー プなどがブースを出し、参加者への適切な情報の提供、患者同士の交流 も活発に行われるなど、講演会は終始、にぎやかな雰囲気の中で行われました。

アドレナリン自己注射薬の実物を使った研修

アドレナリン自己注射薬の実物を使った研修

<参加者の感想 アンケートから抜粋>

○地域で日々、ママたちのおっぱい相談、育児相談を受けている。アレルギーに関する相談も多いが、正しい情報を提供するために自分の勉強がかなり不足していることに気づかされた

○認可保育園で栄養士をしていても、このようなアレルギーの最新情報を聞く機会はほとんどない。定期的にこのような機会をもってもらうと嬉しい

○シンポジウムでは、実際にご家族等が困っている点を聞くことができ、またそれに対しての明確な答えを聞くことができ、実際の診療に役立たせることができる

○「回転食」や「食物抗原強弱表」など基本と思っていたことが、今はそうではないと知り驚いた。何がわが子にとって一番なのか不安なこともたくさんあるが、今日の講演会に参加し、明日からの力にしたい

○最新の情報を発信していただき、患者の家族にとっても、現場の栄養士にとっても有意義な会だった。講義が少し駆け足だった分、質問に答える形で事例に答えてもらいよかった

アレルギーサイン・グループのブース

アレルギーサイン・グループのブース

○息子が卵アレルギーとなり、うわさだけでしっかりとした情報をとらずに、将来は大丈夫だろうかと心配していた。アレルギーの専門の医師の話を聞き大変に勉強になった。情報をしっかり取り対応していきたい

○数年前に購入した本が既に古い(正しくない?)情報であると知った。たくさんの除去、アトピーや〝飛び火〟でつらい思いをした。正しい情報のありがたさを実感する。初めて「エピペン」にさわり参考になった

○最新の基本的な医学情報を聞くことができた。ガイドラインに沿った診断、治療の普及のために大変有意義な講演会で、今後のさらなる発展を切望する

○希望をもって食物アレルギーと付き合っていこうと思った。参加して良かった

○医療に関しては著しい変化があり、最新のアレルギー情報を聞くことができた。専門医を頼ることの重要性を再認識した。今後に役立てたい

○兄と主人のアトピーがひどいので参考になった。ステロイドはいけないものと思っていたのでびっくりした。学校に勤めているが、食物アレルギーで血液検査の結果を持ってくる保護者が多い。一度、きちんとした病院で負荷試験を受けるよう勧めたい

○インターネット情報に右往左往している。専門の先生方のお話を聞き、情報は厳しく選択する必要があることがよく分かった。回数を重ねて講演会を開催していただけるととても嬉しい

○アレルギーで悩んでいる人が自分以外にもたくさんいることを知り、大変に心強く思った

○アトピー、食物アレルギーの最新情報を知ることができてよかった。「不適切な除去は不要」と聞いたが、不当なことを言ってくる保護者がいて困っていたので、自分自身も正しい知識を身につけて対応していきたいと思った

○食物アレルギーの知識は古い情報もあり、講演会の話で、自分の知識で間違っていた部分が分かった。「エピペン」の見学ができてよかった

○現在の治療に不安を感じていた。講演会での話が本当に参考になり、先が見えた気がした。参加して本当に良かった

○新旧の情報が入り混じっていて、正直なところ、どの資料を参考に勉強したらいいのか分からず困っていたので、とても良かった

○講演は大変に分かりやすく勉強になった。一般知識として皆に広まると本当によいと思う。間違った病院に通い、民間療法を続けている人を知っているが、なかなか勧められない(信者になっている)。現実は難しいと思った

○管理栄養士で、今は育児のために仕事をしていない。かつての知識や勉強したことが、いつまでも正しいことではないと痛感した。資格や経験にあぐらをかかずに勉強しようという気になった。大変に有意義だった

○卒業論文で食物アレルギーについて研究したいと思い参加した。たくさんの知識を得、「エピペン」の実演も勉強になった。「保育者」をめざしているが、アトピー、食物アレルギーで悩む保護者を支援したいと思った

○食物アレルギーのガイドライン、負荷試験の実施医療機関などの調べ方が分かりよかった。区役所、保健所の母親学級、栄養指導を担当する人にも指導してもらいたいと思った

○食物アレルギーの話がとても分かりやすく良かった。今年、管理栄養士の資格を取得したが、教科書では学べない実際に行われていることが学べ、食物アレルギーについてより調べてみたいと思った

○長谷川先生のお母さんたちの悩みの話では、共感できることが多くあり、涙が出てしまった。初めてこのような講演会に参加したが、背中を後押しされたような感じで、前向きになれた